保ち合い続くドル円相場

	１）介入警戒感からドル売り進まず 　先週のドル円相場は、1月中に政府・日銀が覆面介入を行っていたことが明らかになったことから、ドルの下値が堅くなる一方、１ドル＝120円台では日本の輸出企業等のドル売りからドルの上値も抑えられ、結局120円を挟んだ狭いレンジでの取引に終始した。 　小泉首相が次期日銀総裁に中原氏を指名する方向との一部観測報道によりドル高値120円93銭をつけたものの、小泉首相がこの報道を否定したことが伝わると120円近辺に下落。その後は米パウエル国務長官によるイラク大量破壊兵器開発に関する証拠提出を控えてドル売り圧力が強まり、ドルは119円05銭まで下落した。 　しかし、報告の内容が予想の範囲内であったことからドルは買い戻され再び120円台を回復した。週末に発表された米雇用統計の数字が予想以上に強いものとなったもののドル円相場には影響を与えず結局、120円台前半で越週した。 　また、ユーロ・ドル相場は、独地方選挙での与党大敗を材料に週初1.0693ドルに下落。しかし、緊張が続くイラク情勢を背景にユーロは再び対ドル、対円で上昇。対ドルで3年10か月ぶりの高値となる1.0938ドル、対円でも130円53銭をつけた。また、欧州中銀は金利を据え置いたものの、英中銀が予想外に0．25％の利下げを実施し、ポンドは対ドルで1．64後半ドルから一時1．62前半ドルに下落した。 （２）イラク情勢を巡る動き 　8～10日に国連監視検証査察委員会（UNMOVIC）のブリクス委員長、国際原子力機関（IAEA）のエルバラダイ事務局長等がイラクを訪問した。訪問前にブリクス委員長らは、生物・化学兵器を廃棄した証拠の提示など具体的な協力要請項目をイラク側に文書で提出しており、訪問結果が14日の国連安保理への追加報告に大きく影響するのは確実である。 　また、米ブッシュ政権は対イラク武力行使をより明確に容認する決議案を安保理に提出することを検討中とされ、イラク情勢は重大な局面を迎えている。14日の追加報告の内容次第では、為替相場に大きな影響を与えるのは必至といえよう。 （３）ドル円は一進一退か？ 　今週のドル円相場は一進一退で保ち合いの展開を予想する。引き続きイラク情勢の緊迫や米景気の先行き不透明感を背景にドルの先安感は根強いものの、政府･日銀による円売り介入への警戒感から積極的にドルを売り込み難い状況が続くだろう。 　　14日に国連査察団による追加報告が行われるが、それまでは方向感が出にくいと思われる。 （４）今週の予想レンジは118円―12２円